「随分と無茶してくれちゃって…………」
「結果として、これが最良であった。違うか?」
「違いませんよ。ええ、全く違いませんとも!」
天界一と言っても良いほど大きな橋の前に、北斗星君と南斗星君は、佇んでいた。
背中を見送ること三十弱。もう他に、それを渡る影は無い。
がらりと空いた空間は、しんと静まり返って、妙な肌寒さが辺りを包んでいた。
「でもそれは結果としてであって、最初は利用するだけで無事帰すつもりなんてなかったくせに」
「我は天を統べる者。どれだけの犠牲が出ようと、守るべきものはこの世界のみ」
「ま、貴方にとってはそうなんでしょうね」
「では他に何か手が合ったとするならば聞こう。そしてそなたの方が正しいと判断したなら謝るが」
南斗星君の答えは無かった。
それがすぐに答えられる問いであるならば、わざわざ彼らの力を借りるところまでは行きついていないだろう。
「まあ、全てが終わった今、蒸し返す方が無粋なんでしょうねぇ」
南斗星君は、橋の向こう側を見る。最端は雲の隠れていて見えはしなかったが、それでも遠く遠くを見た。
「彼らに会うことが出来たのも、主宰様の考え方のおかげすからねぇ?」
「思う存分、感謝するがよい」
「嫌味も受け入れるなんてさすがは主宰様」
「お前のような愚弟を本気で相手にできるほど私も暇ではないのでな」
北斗星君はマントを翻して橋に背を向け、歩き出す。それでも、次の言葉で足を止めた。
「でも、本当に、帰したくなくなってしまっていました」
「…………この喧騒も、悪いものではなかった。そういうことであろう」



まつりのあと  




穏やか過ぎて少し寂しいだなんて、間違っても言ってはいけないのに。



END

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がやがやがしーんとなる瞬間は、きっと寂しいさ倍増なのだろうなーと思って。


(2009/11/07 星君祭・作品展示)